強くはなれなくても豊かに生きる

むっきーのブログ。心身ともにバランスを崩して、いろいろ駄目になりかけちゃいました。これからはもっとしなやかに、もっとしたたかに生きていこうと、考え方を変革中です。心優しい方々、私の成長を見守っていてください(^^)

(人生)老いた犬は何を見つめて歩いてる

  今日、空き時間に駅前の公園で休んでいた。ベンチに腰掛け、缶コーヒーをあける。ほっと一息。私の足元では、ハトやスズメたちが、忙しく地面をつつき、食べ物を探していた。でもつついては吐き出すことを繰り返す。あまり食べ物は落ちていないようだ。でもそうしているときの健気な表情がなんとも可愛らしい。人間も仕事や家事、学業と大変だけど、彼らも必死。いや、彼らの方がその日その時の食い物を探しているのだから、よっぽど大変かな。

 

  遠くに目をやると、黒く長い毛をしたミニチュアダックスが一匹で歩いてた。まさかの野良犬か。一瞬そう思ったが、その犬の少し前を自転車を押した主婦風の中年女性が歩いてる。その人が飼い主のようで、一生懸命追いかけているようだった。

 

  でもその犬の歩みは恐ろしく遅い。一歩進んでは、一息ついているような感じで、なかなか前に進まない。老犬のようだった。しかし目はつぶらで、女性をしっかり見上げながら歩いているようだっだ。その目はハトの目とそっくりだった。女性を見失わないように、一歩一歩、着実に歩んでいる。

 

  そういう姿を見ていて、昔実家で飼っていた犬を思い出した。私にとても懐いている、というよりは、いつも一緒に遊ぶ親友か兄弟のような関係の犬だった。私が幼い頃から家におり、成長をともにしていたが、数年前に老衰で死んだ。私より遅く生まれたのに、私より早く老いて、そして死ぬ。それが、私には初めての感覚だった。何か自分の人生の縮図を見ているような錯覚を受けた。

 

  彼はおそらく自分の生について何も考えることなく、日々を一生懸命生きていた。遊ぶ時は全力で走り回って遊び、お腹が空いたときは全力で餌をねだり、怖かったらずっと鳴いていた。そして、老いてきても私を見たら全力で遊ぼうと寄ってきた。本当に一生懸命な姿が可愛かった。

 

  懐かしい思い出にふけっていて、また公園の犬に目をやると、飼い主の女性に追いついたようで、足元に寄って尻尾を振っていた。女性もにこりと笑った。

 

  彼の一生懸命生きる姿を見ることで、こちらまでも元気をもらえる気がした。人間なのだから悩みが多いのは当たり前だけど、ときには彼らのようにその時その時を見つめて、全力で生きようと考えてみるのも悪くない。