自然に出た「楽しいか?」の言葉
ある店にいたときのこと。トイレを済ませて、手を洗おうと洗面台に向かった。すると、流しの部分には小バエが止まっているのがわかった。なんとなく、そのハエに水があたるように手を洗った。水は彼の上に直撃し、気がつくと彼の姿はなくなっていた。
無意識に、こんなくだらない意地悪をしてハエを殺してしまったのか。それとも、自分の意思で殺そうと思ってやったのか。そもそもハエごときかまどうしたとか考える必要もないか。よくわからないが、一瞬でそんなことが頭の中をぐるぐると回った。
そして、僕の口から言葉が出た。「楽しいか?」。まわりには誰もいない。自分だけに響く言葉。発したのも自分、聞いたのも自分。でも、どこからともなく降って来た言葉のように感じた。
無意識で弱い者ををいじめて楽しいのか。俺は何をやっているんだ。
さらに、その枠を超えて、どこからか「こんな人生で楽しいのか」という言葉まで聞こえそうな気がしてしまった。こんな日々で楽しいのか。何かに必死になることなく生きていて楽しいのか。そりゃ、生きる事だけでも必死だけど、せっかく生かされているんだから自分の役割がなにかあるはずだよ。そんなことまで考えてまった。
ハエの人生がなんのためにあるのなんて分からない。というより、そもそも人でもないから人生ではないのかな。じゃあ、僕の人生はなんのためにあるのか。そんなことも、正直わかんないよね。でも、何かしらの意味がありたいと思うから、必死に生きるわけだよね。
でも、人間は動物とは違う。話す事もできれば、考える事もできる。世にまかせて生きるだけではなく、自分たちである程度のことは変えることができる。と、いうことは、少しでも良い世の中になるように、まあそこまで言わなくても少しでも自分の人生が豊かになるように常に努力していかないといけないよね。
こんな事ばかり考えるなんて疲れているのかな。でも、考え続けないと。